韓国コロナウィルス感染者の個人情報(動線)公開はどこまでされているのか?【実録現地レポ】

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毎日2回の定例ブリーフィングがある度に、急増する韓国のコロナウィルス感染者数と街の雰囲気で緊張感を感じる日々です。

以前の記事でコロナ関連の地図についてご紹介しましたが、今回の記事では、ソウル近郊にある京畿道 龍仁市の感染者情報公開の様子について現地からお伝えしてみたいと思います。

日曜夜でも関係なし!緊急事態に市長は夜中の1時まで情報公開

写真:龍仁市の公式SNS

ソウル郊外に位置する都市、龍仁市では、現在5人の感染者(確定患者)が発生しています。

ご存知の通り、韓国の感染者数は2月中旬までは緩やかな増加傾向を見せていました。
しかし、新興宗教で韓国では異端(カルト教)とされている新天地教会の信者による集団感染がきっかけで一気に感染者が急増、事態が大きく動くことになりました。

2月21日に、龍仁市内でも1月31日~2月2日の間に慶尚北道にある清道デナム病院の葬儀場に行った市民は申告必須で、この他にも大邱、慶尚北道地域に訪問した人で熱や咳、喉の痛みなどの症状がある人は保健所に問い合わせするように公式SNSを通じて告知が出るとともに、スマホにも災難警告メールで案内が送られました。

また同日、龍仁市内の新天地教会の所在地(住所)と写真が公開され、新天地教会が入居する建物は防疫消毒が行われ閉鎖されました。

23日にはとうとう龍仁市でも最初の感染者が判明しました。

最初の感染者は日曜夜に判明

判明した23日は、日曜日でしたが、龍仁市長の個人のFacebookでもすぐに詳細情報が公開されました。

写真:龍仁市長のFacebook

公開された情報は、
感染者の

年齢
性別
自宅住所
職場住所
使用した交通手段(具体的なバスの路線番号)
です。

当初は自宅住所と職場住所は番地や建物名、勤務先の会社名も全て公開されていました。
そして、職場と該当のバスは消毒・閉鎖され、バスの運転手は隔離措置されたことが伝えられました。

日本では個人情報がここまで具体的に公開されることはまず考えられませんが、緊急性と公益性をより重要視した市長が判断したようです。

実際、感染者発生が判明した直後には、市内のどこなのかネットで検索する中でいくつかのフェイクニュースをSNSを中心に目にしましたが、市長の情報公開後は収まっていました。
ただ、あまりにも個人情報なので番地などは後日非公開に修正されました。

(※感染者については、今回の1人目の感染者が出る前から、「龍仁で初の感染者が出た!」とまったく関係のない写真と一緒にフェイクニュースが出回って不安を煽るケースがあり、龍仁市が再三、感染者はまだ出ていないので騙されないでくださいと否定していたという経緯もあります)

結局この日は、日曜日の夜ながらも市長は情報を自ら伝え続け、夜中の0時と1時にも個人のFacebookを更新して、判明した最新情報をその都度リアルタイムで発信し、市民に知らせていました。
しかも市民の質問にも丁寧に返信をしていて、その距離感と時間帯にビックリしました😳😳😳!

ここまで公開するの?!と驚いた感染者の動線発表

韓国のコロナウィルス感染者の動線はどこまで発表されているのか?

公開される動線についても具体的です。

例えばこちらは、4番目の感染者の情報です。

1枚目では、年齢、性別、国籍
自宅と会社所在地(※一部モザイク処理しています)の住所、発生経緯から、感染確定となるまでを日付と時間、場所を記して説明しています。

写真:龍仁市長のFacebook

続く2枚目は、隔離されるまでに感染者が立ち寄ったマートやコンビニ、飲食店、病院、薬局の名前と日付、時間がすべて公開されています。

そして、感染者の訪問場所は消毒中で、業務は一時停止措置となったことが案内されています。

写真:龍仁市長のFacebook

訪問先が時間単位で分かるのは、韓国ではほぼ皆、クレジットカードやデビットカードで決済をするので、自分のスマホを見ればいつ何時にどこで決済をしたのか、決済直後の控えメールもあり、本人もすぐに確認できます。
また、最悪本人が嘘をついたとしても、決済履歴を決済会社側から追うこともでき、監視カメラもどのお店にもついているので関係機関が調べれば、すぐに分かります。

水原市のある感染者の場合、動線が発表され、昼にクッパプのお店に、夜は店名からとんかつ屋と推測されるお店に行き、その後全国チェーンのコーヒーショップに立ち寄っていたという公開情報が分かり、その人がその日何時にどこで食事をし、デザートを楽しんでいたのかを赤の他人が知ることになりました。もちろん個人は特定されてはいませんが。

日本だとここまで公開するのか?といえるような徹底した情報公開です。

ただ、もしも公開しなかったとしても防疫消毒をすれば、韓国はアパートや商店街など密接地域が多いので、すぐに誰かがSNSに動画や写真をアップしてどのみち明らかになってしまうのと、情報公開がないとフェイクニュースが出回りそれに振り回される人が続出して混乱をきたすのが目に見えているので仕方ない側面もあるのかもしれません。

公開しなければ、不安に駆られた人たちが役所に具体的な場所や時間を問い合わせ、電話が殺到するのは目に見えています。

逆に、自分が感染者になるとここまで一挙手一投足が公開されるのかというプレッシャーも感じますが・・・😨😨😨、そう考えると、ある意味抑止力になる側面もあるかもしれません・・・。

隣接する市からも感染者の連絡あり、どの市も透明性を強調

ちなみに、スマホに届く災難警告メールには、通学通勤で行き来する人も多いため、隣接する水原市や城南市からもアラートメールが届きます

一度に複数の人が判明した時には数分おきに5~6通の災難警告メールが届くというわけです😱😱😱。
心臓に悪いです。

こちらは、龍仁市のお隣の水原市の市長のFacebook。
水原市長も同様にFacebookで動線を公開しています。

写真:水原市長のFacebook

27日に明らかになった光教(クァンギョ)の感染者について年齢、性別、国籍、自宅と勤め先の会社名が公開されています。
実際には具体的なマンション名と棟番号、会社名が記されていますが、その部分はモザイク処理しました。

また、保健所からの通達日と時間、自宅隔離中からの救急車での移送から判明までを時間とともに明らかにし、詳細は続報を伝える旨と関連情報を迅速に透明に(包み隠さず)伝えることを記しています。

水原市は烏山市とも隣接しているので、烏山市の感染者情報も水原市の市長さん、そして水原市の公式SNSで共有しています。

自宅は〇〇市でも勤め先は隣の市というケースが京畿道内では多いので(※日本でいう埼玉、千葉、横浜というイメージです)、情報はそれぞれクロスして公開される必要性があるためです。

どの市長さんも、情報の「透明」を強調しており、本当にその言葉通り、全公開を基本にしています。

韓国と日本の違いを改めて実感


普段、韓国人と接しているとやっぱり日本人と韓国人は違うなぁとその違いを感じることは多いです。

石橋を叩いて渡る慎重派の日本人と、とにかくやってみるの韓国人。
もちろん個人差はあります…!

ここまでの新型コロナウィルスへの対応を見ていても、日韓のアプローチは大きく違うわけですが、
やらないよりは効果がありそうだ、できることならば、まず全部やってみて、ダメなものは後から見直そう
という、既存のやり方やマニュアルに囚われない韓国のスピーディな動きを実際にこの目で見て、肌で感じます。

もちろん弊害や、これがもはや追えないくらいの人数になった時にはどうなってしまうんだ…という問題もありますが、透明な情報公開については今のところ、市民の支持を得ているようです
また、コロナ関連地図へもこれらの公開された情報が、具体的な位置情報として反映されているというわけです。

まだまだ先が見えない状況で、心配も多いですが、少しでも早くこの日本、韓国、そして世界のコロナウィルスの状況が終息に向かってほしいと心から切に願っています。

 

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