【取材レポ】髙塚大夢(INI)命を懸けて守りたいものは「ファンの皆さんの存在」声優初挑戦の映画『ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン』完成披露上映会レポ

(左から)工藤ディマ、岡本信彦、髙塚大夢(INI)、高橋李依、井上裕介(NON STYLE)

ウクライナのアニメーション映画『ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン』が日本に初上陸し9月22日(金)から全国公開となっている。
これに先立ち、9月6日(水)に都内で完成披露上映会が開催され、声優に初挑戦のボーイズグループINIの髙塚大夢と、ヒロインのミラ役で『推しの子』の星野アイ役で知られる高橋李依、『鬼滅の刃』や『僕のヒーローアカデミア』など多くの作品に参加しているベテラン声優の岡本信彦、さらにコンビで参加したNON STYLEの井上裕介、自身もウクライナ出身で声優初挑戦の工藤ディマが登壇し舞台挨拶が行われ、それぞれの映画への熱い思いを語った。

映画『ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン』声優に髙塚大夢初挑戦

今も続くウクライナへの侵攻に心を痛めたある女性が、ウクライナのために何か出来ることはないかと、このウクライナで制作されたアニメーション映画『ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン』の日本語吹替え版と日本上映のために、映画配給会社を設立、クラウドファンディングで集まった資金により日本での上映が実現した。上映で得た利益の一部はウクライナへ寄付されるという。

登壇者:髙塚大夢(INI)高橋李依岡本信彦井上裕介(NON STYLE)工藤ディマ

映画上映後に登壇した5人は、ひとことずつ挨拶へ。ひと際歓声が上がった主人公・ルスラン役を演じたINIの髙塚は「この後のトークを通して少しでもこの映画の魅力を知っていただけたら」と挨拶。町の悪党役を演じたNON STYLEの井上裕介は「本当はルスランをやりたかったNON STYLE井上です」と言って会場を一気に和ませました。

Q.ウクライナで制作されたアニメーションが日本初上陸ですが、声優を担当されて、あらためてどんなお気持ちですか?

髙塚:ウクライナと聞くと、今の時期はどうしても少し慎重に考えてしまうような方々も多いと思っていて、僕もこの話をいただいた時にそういうった印象を持ってたんですけど、実際に、この映画と向き合ってみて、ウクライナという国の文化だとか、素晴らしさや魅力というのを凄く感じたので、本当にこの映画が日本で上映されるのは凄い意味があると思いますし、少しでも多くの方に魅力が届けばいいなと感じました。―しかも声優初体験ですね!
そうなんです。なので、凄い思い入れのある作品になりました。
―緊張しましたか?
めちゃくちゃ緊張しました。収録の当日ギリギリまで台本を見ないと…心臓が収まらなくて本当に大変でしたね。でも本当に沢山の人に支えられていいものになったんじゃないかなと思います。(会場からから大きな拍手が沸く)

Q.高橋さんは、ヒロインとして映画に関わってどうでしたか?

高橋:ウクライナのアニメーションを見るのも、触れるのも初めてというタイミングというのもあったので、どういったジャンルのお芝居になるのかなと思っていたんですけど、自分がもったいないと思うくらいに、シンプルに楽しめる分かりやすい物語が詰まっていて、映像の中にもウクライナの皆さんがどれだけアニメが好きかとか、繊細な表情変化だったりが詰まっていたので、それを引っ張り出すお手伝いが出来たらなと言う感じで、こっちもエネルギー高く参加することが出来ました。

Q.ウクライナのキーウ出身で初めての声優の工藤さんはいかがでしたか?

工藤:(緊張した様子で)収録も今も普通に足が震えておりまして…爆発しそうです~
井上:ずっと裏でも緊張してましたね、一番大柄なんやからドシッとしといてよ!(笑)
工藤:はじめての経験で面白かったというか、新鮮で。まだまだ日本語を磨かないといけない部分が沢山あるので、こういう機会がとても嬉しかったです。

Q.岡本さんは、声優初体験になったお二人(髙塚・工藤)の声を聞いてどうですか?

岡本:お二人に共通してるのが、ピュアな部分だと思うんですよね。そのピュアな部分て、経験値とかを重ねていくと出来ることが増えていくかもしれないんですけど、その時のピュアの全力って、その時しかない輝きみたいなものがあって、そこがルスランとかにも象徴的にも映し出された気がして、とてもいいキャラクターに仕上がったんじゃないかなと思います。
―ルスランとはバディでしたね?
岡本:ずっと掛け合ってきまして、(髙塚さんが)声優初挑戦でこの分量って大変だなと思たんですよ、実際に。
髙塚:岡本さんとはご一緒出来なかったじゃないですか。なんですけど、声だけでも本当に助けられたというか、会話のキャッチボールをしてて、やりやすさがあって本当にお世話になりました。
井上:スタッフさんに聞いたら、ほぼ全部録り終わったけど、録り直したんやろ?
髙塚:録り直しました。
井上:役って何日間に渡って録るじゃないですか、バーッて録ってたらどんどんルスランが入ってきたから、最初の時のルスランが弱くなってる~て言って、もう一回録り直したんやな?最初から。凄いよね⁉ NON STYLE(二人)のシーンはピッタリ一時間で終わったで!(笑)そこは初主演という熱意も凄いし“思い”があるんだよ、やっぱり」

Q.井上さんもNON STYLEのバディと一緒にやってましたが、役作りはどうされてたんですか?

井上役作りもなにも!現場でこういうキャラクターなんだというのを教えていただいて、「とりあえず悪い人です」と「サ行が言えないキャラです」と。活舌のいい俺に「サ行」を無くせと!(会場笑)それが難しかったですね!「“サシスセソ”を綺麗に言わないでください」と言われて、いろいろ教えてもらいながら。(登壇者の)皆さんとも今日初めて会うんですが…NON STYLE二人でネタ合わせしてるようなアフレコをやらせていただきました。

Q.ルスランはミラを守るために命を懸けて頑張りますが、皆さんが命を懸けて守りたい大切なものは現時点で何でしょうか?

「ある?」と顔を見合わせ悩む登壇者たち…。まず手を挙げたのは岡本。

岡本:僕、ここ数年でブリーチ毛と言って、髪の毛をめちゃくちゃブリーチし始めたんですよ。痛いじゃないですか、年齢も結構重ねていきまして、そろそろ来るかな~と思いまして…。
井上:嫌な話すんな!めちゃくちゃ現実的な話(笑)
―守りたいものですね!
岡本:(切実そうに)髪の毛ですね。

高橋:命を懸けてというところですが、仕事関連にはなっちゃうタイミングなんですけど、やっぱり作品への愛情を失ったら、流して仕事やってるみたいな感じになっちゃうので、その辺の「仕事を流さない」みたいなところは、命を懸けて守りたいなって思います。

工藤:難しいですね。命を懸けて何かを守るとか…経験浅いっすね…(全員笑)
井上:なんでもいいんだよ、好きな食べ物でもいいしさ!
工藤:好きな食べ物は…みそ汁っすかね(笑)でもみそ汁を命かけて守るとか…今のところありえないですね(会場笑)

まだ答えていないは髙塚と井上。すると「ここで僕先行っていいですか」と髙塚が先に回答。

髙塚:ちょっとクサいこと言うんですけど、「ファンの皆さんの存在」です。普段INIというグループでやってるんですけど、ファンの皆さんの投票で出来たグループっていうのもあって、やっぱりその分だけファンの人には毎日支えられて、凄い大切だなって思います!

―この映画の日本版の主題歌の歌詞も作られて、INIの皆さんが歌ってる「My Story」素晴らしいですよね。挿入歌も歌われてますが、どういった思いで作詞されたんですか?
髙塚が「今回この…」と言いかけた時に、井上から「ちょっとだけごめんなさい!」と待ったがかかる。自分にトークが回って来ないと思ったのか「僕は?無しにしてくれてありがとうと言いたい!」と割って入り、笑いが起きる中、申し訳なさそうにも続きを話し出す髙塚。

髙塚:すみません、えーと。今回「My Story」と言う曲の作詞させていただきまして、主題歌ということもあって、ルスランの心情の変化みたいなのを言葉に出来たらなと思って作詞しました。この映画がルスランが成長するうえで、ミラの存在というのが凄い大きいなと思って、夢を叶えるうえでの大切な人の存在みたいなのを言葉に出来たらと、INIもやっぱりファンの存在というのが大きかったので、重なる部分みたいなのを曲に出来たらなと思って作詞しました。
井上:どっちが先なの?歌詞が先なのか、アフレコが先なのか。
髙塚:こっち(アフレコが先)ですね。
井上:(驚いた様子で)アフレコを撮り終わってから曲を作ったってこと?すごーい!
髙塚:ルスランのセリフとかも分かってるからこそ、言葉も出てきたかなという感じです。
井上:は~かっこええな~(と感心する井上)

ここでようやく井上に話がふられると
井上:もうええねん!(命を懸けて守りたいものは)カネやカネ!今まで築き上げた財産や!(と声を大にすると、会場は大爆笑に)
―相方(石田)さんじゃなくなったんですか?
井上:いろいろ話聞いてたら、やっぱりカネや!(笑)

Q.工藤さんはご家族がまだウクライナにいらっしゃるんですよね?声優デビューを聞いたご家族の反応はどうでした?

工藤:自分的に誇りではあるんですが、初の日本吹き替え版に自分が参加させていただいて、(家族は)“えーすごいな”って。ウクライナの吹き替え版と日本語吹き替え版とぜひ聞き比べしたいと言ってましたが、日本語が分からないのに、なにを聞き比べするのか分からないです、(会場笑)でも家族も私も嬉しかったです、ドキドキしました。
井上:ウクライナはアニメを見るという文化は結構あるんですか?
工藤:薄れた時期もありましたが、最近は(見ることが)増えましたね。
井上:うってつけですね。ウクライナでアニメを見る人が増えるといいですね。
工藤:そうですね、望みでもありますね。日本の文化の一部がウクライナに伝わったら嬉しいです。

Q.クラウドファンディングで集まった映画に関わって、どういう思いですか?

髙塚:ウクライナの背景というのを知りながら、少しでも何か力になれたらって思っていた方々がクラウドファンディングに参加してくださったと思うんですけど、それだけ沢山の人の思いがこもった作品というのを知って、やっぱり責任感とかも凄い感じましたし、僕自身もその映画に声優として参加出来たことを凄い嬉しく思ました。

ここで監督のオレ・マラムシュ氏からメッセージVTRが公開され、声優キャスト陣に感謝を伝えた。

髙塚:主題歌も聴いてくださったみたいで光栄です。

井上:僕は仕事上、お笑いをやってるので、“お笑い”が、なかなか世界共通って難しいですけど、“音楽”だったり”アニメーション“ていうのは世界共通で分かるエンターテイメントだと思いますから、ウクライナのために何かをしたいけど、何をしていいか分からないという日本の方が、今回分かりやすくクラウドファンディングという形で少しでも力になれたらという思いが形となったというのは、参加させていただいたというのも光栄なことですし、もっとこういう輪が映画だけじゃなく、もっと広がってウクライナに届けばいいなと思いますね。

―最後に代表してひとことお願いします。

高橋:本当に今回こうしてこの作品をいろいろなきっかけで出会ってくださってあらためてありがとうございます。公開が9月22日からなので、今日一番最初に見ていただいた皆さんには、「こんな作品あったよ」って沢山の方に、ネタバレにならないような形で広めていただいて、この輪が1個1個繋がっていくことを願っていますので、どうぞこれから一緒にこの作品と歩んでもらえたら嬉しいです。今日はありがとうございました。

髙塚:もともとこういった声のお仕事がしたいなとずっと思ってたんですけども、この話をいただいて、本当に嬉しいという気持ちと同時に、やっぱりプレッシャーだとか不安というのが強かったんですけど、そんな中で1から指導してくださったスタッフの皆さんや支えてくださった皆さんにこの場を借りて感謝の気持ちを伝えられればと思います。本当にありがとうございました。

舞台挨拶後には、ウクライナの国旗の色である青と黄のパネルを持った客席をバックにフォトセッションが行われました。

『ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン』映画情報

あらすじ

騎士に憧れを持つルスランと王女であるミラ。身分が違う二人はお互いの素性を知らぬまま出会い、やがて恋に落ちる。しかし、悪の魔法使い・チェルノモールがルスランの目の前でミラを連れ去り、ミラの愛の力を自分の魔力に変えてしまう。ルスランは、愛するミラを助けるためにあらゆる障害を乗り越え、本当の愛は魔法よりも強いということを証明するべく旅へと出るが、そこには様々な困難が待ち受けていた…。

監督:オレ・マラムシュ
制作年:2018年
制作国:ウクライナ
制作スタジオ:Animagrad
上映時間:94分
© 2018, SSVG EAST FUND INVESTMENT LIMITED © 2018, “ANIMAGRAD” LTD © 2018, Ukrainian State Film Agency © 『ストールンプリンセス:キーウの王女とルスラン』製作委員会
公開日:2023年9月22日(金)全国公開

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