【独占インタビュー】映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』キム・ヘヨン監督「私も作品に励まされました」4月10日(金)全国公開!

ソウルの芸術団を舞台に、“母を失くした女子高生”イニョン(イ・レ)と“完璧主義の先生”ソラ(チン・ソヨン)の不思議な共同生活による心の交流を描いた感動作『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』が4月10日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開となる。(配給:日活/KDDI)

メガホンを取ったのは、ドラマ『恋愛体質〜30歳になれば大丈夫』や『私が死ぬ一週間前』などで知られるキム・ヘヨン監督。本作は韓国映画で初めて、第74回ベルリン国際映画祭「Generation Kplus」部門の最優秀作品賞にあたる〈クリスタル・ベア賞〉を受賞。また、本作が長編監督デビュー作となり、2025年青龍映画賞で新人監督賞を受賞。長編2作目となる、日本映画『今夜、世界からこの恋が消えても』の韓国リメイク作が昨年12月に韓国で公開されるなど、今後の活躍が期待される新鋭の女性監督として注目されている。
先日行われた本作の公開記念試写イベントのために初来日したキム・ヘヨン監督に、この度、インタビューさせていただきました。

ⓒ 2023 TWOMEN FILM ALL RIGHTS RESERVED.

―まず本作は、どんな作品でしょうか?

この作品は、子供であっても、歳を重ねた成人であっても、生きている中で辛いことがあったり、困難に直面して、挫折するような状況に置かれた時に、それでも周囲の人たちと、いい影響を与え合って克服していこうという希望が込められています。そんなふうにみんなに生きていってほしいなという思いと、この『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』というタイトルには、失敗しても大丈夫、十分でなくても、未熟でも大丈夫、力を出して前に進んでいこうというメッセージを込めました。

ⓒ 2023 TWOMEN FILM ALL RIGHTS RESERVED.

―タイトルの『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』は、「大丈夫」が3回続きますが、何か意図があるのでしょうか?

『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』というのは、まずは、いろんな人に向けて「大丈夫!」「大丈夫!」「大丈夫!」と声をかけることによって、この「大丈夫」が伝染していってほしいという気持ちもありました。劇中のタイトルロゴ『괜찮아 괜찮아 괜찮아!』(괜찮아=大丈夫)が出てくるシーンをよく見ると、最初は「大丈夫」に「?」がついていて、その次には「…」へ、そして最後に「!」へと変化していきます。最初の「大丈夫?」は“大丈夫?”って聞いてあげているもの。次の「大丈夫…」は、それでも頑張って乗り越えていこうという応援のメッセージ。最後の「大丈夫!」は、そうなってほしいという願いを込めたんです。観てくださる観客の方たちも、辛いことがあっても、皆さんが大丈夫になってほしい、そして、大丈夫な日々を送ってほしいという願いもあります。そして、この映画に登場するキャラクターのイニョン、ソラ、ナリ、みんな大丈夫であってほしいという思いがあったんです。そのような意味で「大丈夫」を3回繰り返しているんですが、心の中では10回「大丈夫」を言っていました。(笑)

―ベルリン国際映画祭では「Generation Kplus」部門の最優秀作品賞、青龍映画祭では新人監督賞受賞おめでとうございます。お気持ちはいかがですか?

この作品を通じて、ベルリン国際映画祭で作品賞、そして青龍映画祭で新人監督賞をいただきました。でも、この2つの賞どちらも全く予想していなかったもので、参加することに意義があると思って参加していました。そんな中、全く予想だにしてない状態で受賞して、緊張もしていましたが、あまりの嬉しさにベルリン国際映画祭では、俳優の皆さんと一緒に大泣きをしてしまいました。青龍映画祭の時は泣かなかったのですが、すごく緊張をしていたんです。この作品を通じて、私も作品に励まされましたし、癒しを届けられるような作品になりました。この作品を長い時間かけて作っていく中で、悩んだり葛藤もあったのですが、“お疲れさま”というふうに励まされて慰められているような感じがして、とても嬉しかったです。

―イ・レさんが演じるイニョンは笑顔が印象的でしたが、キャスティングの理由を教えてください。

イニョンという役どころは、ピュアで、すごく堂々とした天真爛漫な、そんなエネルギーのオーラを持った俳優さんに演じてほしいと思っていました。イ・レさん自身が、とても明るくて天真爛漫でピュアなイメージのある俳優さんでしたので、このイニョン役にイ・レさんはぴったりだなと思っていたんです。同時に、このイニョンという役は、この映画の主人公として、劇を引っ張っていく役どころでもあったので、演技力のある俳優さんに演じてほしかったんです。イ・レさんは同じ年頃の俳優さんの中でも演技力が非常に優れた俳優さんだと思っていましたし、これまでの出演作品やキャリアを見ていて、子役の頃から本当に役に対する真摯な姿勢を持っていて、さまざまなチャレンジをしてきたというのを感じました。イ・レさんと初めてミーティングをした日のことなんですが、会った瞬間、「まるでイニョンのようだ。もうイニョンそのものだ」と思いました。そして彼女の目には、とても真実味が込められていて、人を惹きつける魅力がある目を持っていたので、もう絶対にイ・レさんとご一緒したいと思ったんです。実際にイ・レさんは現場でNGが最も少なかった俳優さんでした。
―それは素晴らしいですね。
はい、イ・レさんは、本当に小さい頃から演技をされていますからね。

イニョン(イ・レ)/ⓒ 2023 TWOMEN FILM ALL RIGHTS RESERVED.

―そして、芸術監督役のソラを演じたチン・ソヨンさんは、どういった経緯でキャスティングされたのでしょうか?

まず、これまでもチン・ソヨンさんは、作品に取り組むとき、非常に強い意志で役作りをしていく方で、キャラクターを分析し、没入して熾烈に役作りをするというお話を聞いていたんです。この役の場合は、クールで冷静な人柄であるんだけども、後半のイメージは少しそれがほぐれて温かくなっていくという、この2つの演技を同時にこなせる俳優さんであってほしいと思いました。それでチン・ソヨンさんとご一緒したいということになったのです。それと同時にソラという役は、最高の舞踊の踊り手で、今はその舞台監督となり現役でもあるので、やはりそれだけ体が鍛えられていて実力がある俳優さんに演じてほしいと思いました。チン・ソヨンさんは本当に徹底して役作りに取り組んでくださって、ダイエットや食事調整もかなりされていましたし、舞踊の練習もされて、このキャラクターに入り込むための努力をされていたんです。その役作りにおける強い意志、そして、それをこなせる演技力を同時に兼ね備えていた俳優さんです。

劇中では、イニョン役のイ・レさんは、ずっと笑っていなければならないことがおそらく大変だったと思いますし、ソラを演じたチン・ソヨンさんは、もともとよく笑う方ですが、全く笑うことのない役だったことが大変だったと思います。

ソラ(チン・ソヨン)/ⓒ 2023 TWOMEN FILM ALL RIGHTS RESERVED.

―薬剤師役にソン・ソックさんも出演されていますが、癒し系な役でしたね。

私は、ソン・ソックさんとは、『恋愛体質〜30歳になれば大丈夫』で初めてご一緒していたのですが、その時は、とにかく彼の演技が面白くてすごく癒し系の方だという印象がありました。人を癒す力を持っていながらユーモアを失わない姿が印象に残っていたんです。相手をとてもリラックスさせてくれる力を持った方で、ぜひもう一度作品でご一緒したいと思っていました。この薬剤師のドンウクという役については、私が考える理想的な大人の姿をそこに表現したかったんです。何かを強要したり、説教したり、無理に教えようとするのではなく、ずっと待ってあげる、じっと見守る、そして相手を笑わせてくれる、そんな理想的な大人の姿をこの薬剤師を通じて表現したいと思いました。その時に真っ先にソン・ソックさんのことが思い浮かんで、「イニョン(イ・レ)の近所のお友達の役なんですが、今回ご一緒していただけませんか?」と聞いたところ、快く出演を決めてくださいました。そして、当時イ・レさんは高校生という役どころで年齢差がありましたが、2人の演技の相性がとても面白くて良かったので、本当に息がぴったり合ったお2人だったなと思いました。

ドンウク(ソン・ソック)/ⓒ 2023 TWOMEN FILM ALL RIGHTS RESERVED.

―撮影で特にこだわったことがあれば教えてください。

私は、この映画を表現するとすれば、1人の個人の心の中を覗き込む、そこに染みわたっていく浸透劇というふうに思っているんです。お互いに性格の異なる2人、そしてまた3人、4人とキャラクターがそれぞれ歩み寄っていきながら、お互いを理解して、その過程の中で変化しながら成長していく、そのプロセスを細やかに描いてみたいと思いました。その感情の変化の流れやレイヤーを細やかに撮っていきたいという思いで臨みました。

―印象に残っている撮影エピソードは何かありますか?

薬局でのシーンなんですが、イ・レさんとソン・ソックさんが一緒に撮影をする日に、理由は分からないんですけど、薬局の正面のガラス窓が、ガラガラガシャン!と全面割れてしまったんです。撮影しなければならないのに、その場所に問題が起きてしまったのですが、撮影日数をあまり伸ばせない状況にあったんです。そんな中、皆さんが力を合わせて、1回でその撮影を撮り終えたんです。イ・レさんとソン・ソックさんが驚異的な集中力を発揮して、本来であれば、2日予定していた薬局での撮影を全て1日で撮り終えたという出来事がありました。

ⓒ 2023 TWOMEN FILM ALL RIGHTS RESERVED.

―最後に、観客の皆さんにどんなところを見てほしいでしょうか、メッセージをお願いします。

登場するキャラクターは、みんな困難や欠乏を抱えているんですけれども、お互いに影響を与え合いながら変化、そして成長していく過程が描かれていますので、観客の皆さんにも一緒にその過程を楽しんでいただきたいです。はたから見て完璧に見える人であっても、誰でも困難や欠乏というのを抱えてると思うんです。でも周囲にいる、いい人たちとの出会いや影響を通じて、私たちは決して1人ではないというメッセージが皆さんに届けばいいなと思っています。そうやって、いい影響を受けたり、与え合うことで困難も乗り越えていけるだろう、「大丈夫だ!」と励まされてほしいですし、「大丈夫だよ」と言えるようになってほしいなと思います。映画を見終わったあと、クレジットが流れる瞬間には、観客の皆さんのお顔に笑顔が浮かんでいたら嬉しいですし、気分が良くなって映画館をあとにすることができたら嬉しいです。

インタビューでは、とても気さくに映画への思いを語ってくれたキム・ヘヨン監督。今後の作品もとても楽しみです。本作では、イ・レ扮する主人公のイニョンを中心に、取り巻く人たちの感情の変化や表現が繊細に描かれています。また、才能あふれるキャストたちの魅力的なセリフや、韓国舞踊の公演シーンも必見!観る人の心を癒し、前向きにしてくれるハートフル・ストーリー、映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』は4月10日全国公開!

【ストーリー】
母親を失った高校生イニョン(イ・レ)は、家賃が支払えず家から追い出されてしまい、所属しているソウル国際芸術団の練習室で隠れて寝泊まりしていた。芸術団の60周年公演に向けて猛特訓が続く中、ある日、“魔女”と呼ばれ、完璧主義で生徒達に容赦なく厳しい態度をとる芸術監督ソラ(チン・ソヨン)に練習室での生活がバレてしまい、その日からソラの家で一緒に暮らすことに。年齢も性格も生活習慣も違う二人は、お互いに戸惑いを見せながらも、同じ時間を過ごすことで徐々に心を通わせていく。そんな中、イニョンを敵対視している芸術団のエース、ナリ(チョン・スビン)の不調をきっかけにチーム内で問題が勃発。イニョンをはじめとする団員たち、そしてソラの気持ちはバラバラになってしまう。公演開催の危機に迫られた芸術団のため、ソラはある覚悟を決めるが…

映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』
監督:キム・へヨン
出演:イ・レ、チン・ソヨン、チョン・スビン、イ・ジョンハ、ソン・ソック
提供:KDDI 配給:日活/KDDI
2023年/韓国/カラー/スコープ/5.1ch/原題:괜찮아 괜찮아 괜찮아!/英題:IT’S OKAY!/102分/字幕翻訳:根本理恵
ⓒ 2023 TWOMEN FILM ALL RIGHTS RESERVED.
4月10日(金)より 新宿ピカデリーほか全国公開




関連記事