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【取材レポ】イ・ジョンジェが3年半ぶりに来日「チョン・ウソンさんの魅力を最大限に引き出したい」初監督作品『ハント』来日記念記者会見&ジャパンプレミアレポ
大ヒットしたドラマ『イカゲーム』のイ・ジョンジェが初監督作品であり、盟友チョン・ウソンとダブル主演を果たした映画『ハント』(配給:クロックワークス)が9月29日に公開となった。
イ・ジョンジェの来日を記念して、8月31日(木)に記者会見とジャパンプレミアが開催された。
イ・ジョンジェが3年半ぶりに来日!『ハント』来日記念記者会見&ジャパンプレミア
爽やかな淡いピンクの上着を着たイ・ジョンジェが登壇すると「こんばんは、イ・ジョンジェです、よろしくお願いします」と日本語で挨拶し、まずは【記者会見】がスタート。
Q.日本への来日は何年ぶりになりますか?
コロナ前に来ましたので、約3年半前に来た以来かと思います。
Q.本作が初監督作品ということですが、普段の俳優業でやられていることとの違いや今回監督業をやって気づいたことを教えてください。
やはり俳優だけの時は、そのキャラクターにひたすら集中することが出来ますが、演出を兼ねるということになると、本当にさまざまなことをチェックしたり、悩まなければなりません。さまざまな判断を決定をしなければならないことが多くありましたので、俳優だけしている時とは、いろいろな意味で違いがあると思いました。
撮影現場に関しては、これまでも経験してきて、同時に演出家の方々とも親しくお付き合いをさせていただいて、監督の悩みを聞いたり、一緒にその悩みを分かち合ったりということをしてきましたが、いざ自分が演出をしてみるとなると、やはり俳優だけに専念している時とは違うなと思いました。
Q.今回、脚本も4年間あたためてこられたということですが、激しい銃撃戦のシーンも本当に見事でしたし、人間ドラマも素晴らしかったです。カンヌ国際映画祭やトロント国際映画祭など世界中の映画祭で上映されて話題となってましたが、ご覧になったお客さんの反応はいかがでしたか?
シナリオを書いている段階から、国際映画祭に出品できればいいなと思っていました。自分の作った映画を海外の映画祭に出品したいという個人的な希望だけでなく、この映画を通して伝えたかったテーマやメッセージというものが、韓国の観客だけでなく様々な国の観客たちに届いてほしい、そして観客たちと一緒にコミュニケーションを取って話をしたいという思いが強くありました。この映画の中には間違ったイデオロギーというものがテーマとして描かれていますが、そのテーマに対する悩みというのをずっと持ちながら、いろいろ考えながらこの作品を作り上げていきましたが、海外の映画祭に招待されたことによって、本当に多くの記者の方々や映画人の方々と一緒にこの映画について様々なことを語り合うことが出来ました。
映画祭に先に招待されることによって、多くの皆さんと出会うことが出来たので、公開される前に私の気持ちの中で、既にこの映画を作って本当に良かったなと思いました。それだけ多くの皆さんに共感していただくことができて、僕にとっては、この映画が伝えたかったストーリーというのを皆さんに届けることができて、それが本当に意義のあることだなと思えたんです。
Q.盟友のチョン・ウソンさんを初監督作品で抜擢された経緯と、仲がいいだけに演出でやりづらかったことや、良かった点など、エピソードがあれば教えてください。
チョン・ウソンさんとは98年に『太陽がない』という作品でご一緒しています。その時以来、二人で早くまた違う作品で一緒にやりたいねという話をずっとしていました。そのためにシナリオをいただいたり、一緒にシナリオを共同で開発したりということもしていたんですが、なかなかうまくいかなかったんです。そうこうしているうちに私の方で、この『ハント』のシナリオを書くことになって、「これ以上遅くならないうちにぜひ一緒にまたやりましょう」と、キャスティングをさせていただきました。
親しいからこそ撮影現場で大変だったことがあるとすれば、親しいせいか、何かをお願いするのが、すごくためらわれた感じがあったんですね。例えば撮影の最初のほうでは「もう一回この撮影行きましょう」と言うのが、なかなか言い出せなかったり、上手く言えなかったという状況がありまして、自分のほうからちょっとお願いをしているような、そんな感じがしたんです。なので初日撮影を終えたあとに、早くこのぎこちなさを解消しなければならないと思い、次の日からは僕がシナリオを書いていた時に考えてきた表現や、テンポについて、すべてチョン・ウソンさんに話をしたんです。“シナリオを書いてるときにはこんなテンポで、こんな温度の感情を考えながら書いていました”と説明を十分にしたところ、快くそれを受け止めてくれて、撮影現場では本当に助けてもらったと思っています。
Q.チョン・ウソンさんとイ・ジョンジェさんの役は、どちらがどちらの役をやってもいいように思えましたが、配役はどのように決めたのでしょうか?
チョン・ウソンさんはとてもヒューマニズムのある方で、折り目正しく、多くの方たちに、いいイメージを持たれている方なんですね。そして普段から多くの人たちと心を分かちし合うそんな方で知られています。そんなイメージを持ったチョン・ウソンさんの魅力を最大限にこの映画の中でキャラクターとして引き出したい!表現したい!という気持ちがありました。ウソンさんのキャスティングが決まってからは、そんなウソンさんの面を深く見せたいという思いがありましたので、シナリオのキャラクターをより生かすために、シナリオの修正を加えていきました。もちろん僕の考えで二人の役を入れ替えるということも出来たんですが、チョン・ウソンさんが本来持っている姿に、今回最も良く似合うキャスティングになっていると思いますし、最も良く似合っているキャスティングを最大限に引き出す役どころとして表現したいと思っていたんです。
Q.3年半ぶりの来日ということですが、この3年半の間に『イカゲーム』のヒットや『スターウォーズ」の話など、目まぐるしかったと思うのですが、どのように過ごしていたのでしょうか?
これまでも作品には絶えずベストを尽くしてきたんですけども、そんな風に作品を撮り続けてきたところ、『イカゲーム』という作品で、多くの国の方々から人気を博すことになる大事件が起きました。そしてアメリカでは賞を沢山いただきましたし、僕にとってもこんなに大きな福がもたらされるんだなと信じられない状況がありました。それをどう受け止めていいか分からないくらい自分にとっては実感の湧かない、現実味のないような状況だったんです。それらを過ぎて、『ハント』の公開を韓国で準備している最中に『スターウォーズ』のキャスティングのオファーが来ました。でもそのことは誰にも言ってはならないと言われていましたので、私以外にはマネージメント事務所の1人か2人だけが知っている状況の中で、その秘密をずっと維持しながら、その矢先に『ハント』が公開されました。
本作によってさまざまな海外の映画祭にも行かせていただき、そんな中『スターウォーズ』のクランクインが近づいていたんですが、本当に同時進行で様々なことをしながら『スターウォーズ』の準備に取り掛かり、セリフも覚えなければなりませんでしたし、体も鍛えなければなりませんでしたし、役作りについてもいろいろ考えなければなりませんでした。
それらが同時進行で起きていた年で本当に目まぐるしい状況がずっと続いていたので、どんなふうに過ぎていったのか分からない感じがあったんですけれども、今の状況をお伝えしますと、『スターウォーズ』を撮り終えまして、『イカゲーム シーズン2』の撮影をまたしているところです。
『スターウォーズ』は来年公開を予定、『イカゲーム シーズン2』は来年の下半期か再来年の頭に公開を予定しています。また作品が公開されれば、プロモーションでまた忙しくなると思うんですけども、つまりその忙しさが延々と終わっていない状況が続いているんです。個人的には本当に嬉しいことだなと思っていますし、こんな時こそもっと体調管理もしっかりしなければと思っているところです。
続いて【『ハント』ジャパンプレミア】での舞台挨拶へ。
ファンが待つ会場にイ・ジョンジェが登壇すると大きな拍手と大歓声が響きました。
「こんばんは~アンニョンハセヨ~」と日本語を交えて挨拶すると「日本で僕の映画が公開されるのは、どれくらいぶりか分からないくらい久しぶりなんですけども、再びこうして日本で公開をすることができて、本当に嬉しく思います。また日本の美しい観客の皆さまと、こうして出会うことが出来て本当に本当に嬉しいです。今日はどうもありがとうございます。」と、にこやかに語りました。
Q.カンヌ国際映画祭では7分間のスタンディングオーベーションだったと伺っておりますが、映画を見たお客様の反応をご覧になってどんなことを感じられましたか?
映画が始まって、本作は序盤アクションシーンがありますよね?そのアクションシーンが終わって「HUNT(ハント)」という映画のタイトルが字幕であがった時に観客の皆さんが拍手をしながら「うわっー」と歓声をあげてくださったんです。この作品を作った人と見ている観客の皆さんと一緒に呼吸をしている、そんな感じがして本当に嬉しく思いました。
Q.今回は初監督作品ということで、監督を務めようと思ったのはなぜでしょうか?また、脚本を書かれていますが、どういった道のりでしたか?
実は、最初はこのシナリオを自分で書くつもりはありませんでした。優れたシナリオ作家の方が、この作品のシナリオを書いてくれたらいいなと思っていましたし、この作品を素敵に撮りあげてくれる監督がシナリオを書いていただいてもいいんではないかと思っていましたが、なかなか作家さんのキャスティングが上手くいかず、素敵な映画を撮ってくださる監督のキャスティングもなかなか上手くいきませんでした。実際に直接私のほうで訪ねてお願いをしたりしたんですけども、皆さんそれぞれ異なる理由から引き受けるのは難しいと話されました。そして大多数の監督がこの作品を映画化するのは難しいというふうに話されたんです。観客の方たちから沢山愛される作品にするのは難しいのではないかという意見を言われていました。
でも私の考えが少し違ったのが、最近はフェイクニュースも多く流れていますし、誤った信念を持つように、まるで、おまじないをかけられるような言葉も世の中に溢れています。なので、時々誤った知識や情報をもとに行動を起こしている人の姿を目にすることもあります。そんな私たちの姿を考えながら、この映画を作っていったんですけども、この映画の中に登場するキム・ジョンドとパク・ピョンホも信念を持っていますけども、その信念があるがゆえに、その誤った信念によって苦痛がもたらされます。そしてその誤った信念を正しく戻していこうという努力をする、そんな男たちの姿をしっかりと映画の中で描くことが出来れば、これはとても面白い作品になるのではないかという期待を持っていたんです。なので自分でシナリオを書いてみようと書き始めました。シナリオが完成したところ、シナリオの内容について自分自身が一番よく知っているわけですから、ならば自分で直接撮ってみようと思いまして、勇気を出してこの作品の演出をすることになりました。
Q.盟友のチョン・ウソンさんとは、約24年ぶりの共演になるそうですが、感想を聞かせてください。
本当に親しい同僚であり、親しい友人であり、そして今はご近所さんでもあるんです。すぐ隣に住んでいる隣人でもあるので、なかなか複雑ですね。(照)チョン・ウソンさんは本当にカッコいい俳優です。そしてこれまでもカッコいい素敵な映画に沢山出演してこられました。今回の映画では、チョン・ウソンさん自身が見ても、最近撮った作品の中で一番カッコいいなと思えるような作品、観客の皆さんにとってもチョン・ウソンさんの作品の中でもカッコいいなと思っていただけるような作品にしたいと思ったんです。どうすればより正義感に溢れたキャラクターとして、見せることができるのか、どうすればより迫力のある男として描くことができるのか、どうすればより胸の痛い、そんなキャラクターとして余韻を残すことができるのか、さまざまなことを悩みながら現場でも本当に多くの会話を重ねながらワンシーン、ワンシーンひたすらチョン・ウソンさんをカッコよく撮りたいという思いでこの映画を撮りました。
Q.本作は80年代の韓国が舞台になっていて、東京のシーンを韓国で撮影したそうですが、東京を再現するにあたり工夫した点をお願いします。
実は日本の東京のシーンは、日本の地方の小都市で撮ると計画していたんです。以前「黒水仙」という映画の撮影で日本に来て撮影をしたことがあるんですが、こんな風に日本で撮影することもできるんだと記憶がありましたので、日本で撮りたいと思っていたのですが、コロナ過によってその撮影を断念せざるを得ませんでした。
釜山のとある道路を使って撮影をしましたが、交差点の何個所かを車両統制をして撮ったんですけども、日本は車両の向きが韓国と逆なので、週末、撮影許可を取って、道路の車両統制をして逆方向に車を走らせるということで撮影をしました。そして日本から20台くらい車両を運んできて撮ったんですけども、その場所で銃撃戦の撮影もしましたし、日本から持ってきた車は全て壊してしまいました。日本で撮ったらもっと製作費は少なく済んだと思うんですが、韓国で撮ったことによって製作費は増えてしまったんです。なかなか大変苦労しながら撮りあげた作品なんですが、日本の観客の皆さんにどんなふうにご覧になっていただけるのかよく分かりませんが、撮り終えて、それらしく撮れてるんじゃないかなと思ったんですけども、日本の皆さんにはぜひ注意深く見ていただければと思います。
Q.日本での来日は3年半ぶりと伺いましたが、日本で楽しみにされていることはありますか?
日本と言えばやはり美味しい食べ物が沢山ありますよね。沢山いろんなものを食べて帰りたいのですが、今回スケジュールがかなりタイトになってまして、今も食べ物のことを考えただけで、ゴクリと唾を飲み込んでいますが、それでもいくつかは食べて帰れるかなと思います。お寿司屋さんも既に予約もしています。そして先ほども美味しそうな、とんかつサンドを持ち帰ろうと思ってバックの中にしのばせました。(笑)
Q.最後に映画を見てくださる皆さまにひとことお願いします。
コロナ過によってお互いに往来がスムーズに出来なくなる状況がありました。それにも関わらず韓国で僕がイベントをしたり、映画関係の公開があったりすると、その度にそのコロナの大変な最中にも日本のファンの皆さんがわざわざ韓国に来てくださったんです。今までも日本からわざわざ韓国来てくださった大切な日本のファンの皆さんに本当に感謝の気持ちを持っていたんですが、今、実は『イカゲーム シーズン2』の撮影をしているところでして、日本の公開に合わせて直接日本に来るというのは、容易い状況ではありませんでした。こんなふうに皆さんとお会いする場を持つのは難しいのではないかと思われていたんですけども、大切な日本のファンの皆さんに日本で直接お目にかかるというのは、僕にとって本当に特別な意義のあることでしたので、イカゲームのチームの方たちに「2日だけ時間をください」とお願いして、こうやってスケジュールを取らせてもらいました。
日本で直接ファンの皆さんにお会いすることができて、本当に本当に嬉しいですし、いつも感謝の思いを持っているのですが、それをいくら言葉で表現しても十分ではないと感じています。感謝の気持ちと同時に申し訳ない気持ちも持っているんですが、今日こうして皆さんに直接お会いすることができて、胸がジーンとするような感じもありますし、本当に胸がいっぱいです。今日は本当にありがとうございました。
これからも機会があればできる限り、本当に嬉しい気持ちでまた日本に来たいなと思っています。今日は皆さんにこの「ハント」を楽しんでご覧いただければと願っています。また次の作品がありましたら必ずこうやって日本に来て、皆さんにご挨拶したいと思います。ありがとうございました。
最後は沢山の笑顔でフォトセッションに応えていました。
「ハント」映画情報
あらすじ
1980 年代、安全企画部(旧 KCIA)の海外次長パク(イ・ジョンジェ)と国内次長キム(チョン・ウソン)は組織
内に入り込んだ“北”のスパイを探し出す任務を任され、それぞれが捜査をはじめる。二重スパイを見つけなければ
自分たちが疑われるかもしれない緊迫した状況で、大統領暗殺計画を知ることになり、巨大な陰謀に巻き込まれてい
く。
脚本・監督:イ・ジョンジェ
出演:イ・ジョンジェ、チョン・ウソン、チョン・ヘジン、ホ・ソンテ、コ・ユンジョン、キム・ジョンス、チョン・マ
ンシク
2022 年/韓国/DCP5.1ch/シネマスコープ
韓国語・英語・日本語/125 分/PG12
헌트(原題)HUNT(英題)
字幕翻訳:福留友子・字幕監修:秋月望
配給:クロックワークス
©2022 MEGABOXJOONGANG PLUS M, ARTIST STUDIO & SANAI PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.
映画「ハント」全国公開中
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