【取材レポ】イ・レ「まるで女戦士のよう」韓国映画『明日のミンジェ』東京国際映画祭Q&Aにクム・ヘナ、パク・ヨンジェ監督と登壇

左から)クム・ヘナ、パク・ヨンジェ監督、イ・レ
韓国映画『明日のミンジェ』が2025年、第38回東京国際映画祭(10/27~11/5)のアジアの未来部門として上映、11月1日(土)俳優のイ・レとクム・ヘナ、そしてパク・ヨンジェ監督を迎え、Q&Aが行われた。
本映画祭では初登壇となるイ・レ、クム・ヘナ、パク・ヨンジェ監督が登壇。挨拶をすると、司会者が「皆さんからの質問でイ・レさんの走る姿が美しいということで、陸上の心得があるのか?という質問に対し、“全くなく、この映画のためにトレーナーの方と一緒に準備をしたそうです”」と説明し、まずは司会者からクム・ヘナへの質問へ。
―クム・ヘナさんは、コーチ役でしたが、100%いい人でもないし、100%悪い人でもないという、なかなか複雑な役でしたが、どんなところに力を入れて役作りをされましたか?
クム・ヘナ:私は『明日のミンジェ』という映画は、個人の良心に関するストーリーだと考えていました。私が演じたジスコーチが個人の良心に関して、分かってはいるのですが、それを守ることが出来ない環境に置かれ葛藤する人物だと理解しました。ミンジェが似かよった状況に置かれているということで、そのミンジェを見守りながら、彼女がそこから打ち破って前に進んでいく状況を見せてくれていますが、それに対して複雑な心境で見守るジスコーチについて、観客の皆さんも彼女の気持ちの揺れや動きというのを一緒に共感していただけるんじゃないかなと思って演じていたんです。今日あらためて映画を観ると、ちょっと怖いかなとも思えたのですが、演技をしている時には、やはり誰にでもある個人の良心という部分について、守りたいと思ってもなかなかそれが守れない時もある。そして、守れなかった時には罪の意識を抱いてしまったりする人間について、観客の皆さんにも共感していただけるんではないかと思いながら演じていました。
続いて観客によるQ&Aへ
Q.この映画が終わった後の役柄の人物たちは、どうなってほしいですか?
クム・ヘナ:私の場合は、あのあと、監督からの電話を受けて、またそこに向かいますよね。なので、ミンジェに希望は見出すものの、私はもう難しいなと思ってしまってるんではないかと思います。ミンジェのことを応援しながらも、自分自身はそこのみから抜け出せない、そんな状況になっているんではないかと思うんですけれども、もしまたミンジェのような学生が自分の元に来た時には、少し違う接し方ができるかもしれないというところに少し希望を持てるかなと思っています。
イ・レ:タイトルは『明日のミンジェ』となっていますが、タイトルのように昨日と今日のミンジェが明日に向かって進んでいく物語だと私は捉えていました。この映画の中ではミンジェが、自分自身を探していくシーンというのも多く描かれていたと思うんですけれども、最後映画が終わった後、やはりミンジェは自分自身を守る術というのを身につけたとも言えるので、その先も堂々と胸を張った選択ができるように、そういう選択をしながら生きていくんではないかという気がします。
監督:映画を見ている間、そして映画を見終わったあとは、キャラクターの人生に関しては、作家の物ではなく、観客の皆さんの想像の中にあると、私は考えていますので、これを書いた作家、監督としてではなく、これを観た観客として私がどのように彼女たちのその後を受け止めたのかについてお話します。
まず、クム・ヘナさんについては、大変申し訳ないんですが、ジスという人物は自分自身が作り上げた心の中にある牢獄の中から抜け出せずに、ずっとその先も過ごしていくのではないかと思います。そして陸上から遠ざかっていくのではないかと思います。
一方、ミンジェは、実業高校を卒業して、そのあと国家代表となり、大会にも出場しますが最上位まではいかなくても、その結果にとらわれることなく、自分が選択した人生をずっと歩んでいくんではないかと思います。そして、その先は指導者の道に進むのではないかと思いますし、指導者となった時に過去に自分にあったこと、ジスコーチのことも少し思い出しながら、違う道を選択して、堂々とした自分自身の道をその後もずっと歩んでいくんではないかと思いました。
クム・ヘナ:(監督の話を聞いて)悲しいですね(と苦笑い)
Q.イ・レさん(ミンジェ)と、ユノコーチがトッポキを食べながら靴をもらうシーンがとても面白かったのですが、あれはアドリブですか?脚本通りだったのでしょうか?
監督:ほぼ100%アドリブでした(笑)もちろんあの小道具や場所も決まっていましたし、基本的な骨格はあったのですが、最大限、俳優の皆さんに自由に演じてもらえるように、基本的なところだけ決めて、俳優さんに自由に演じていただきました。
Q.ユノコーチは、主人公と大体同じ境遇という感じだったと思うのですが、のちに、妙に金回りが良くて、最後の方は、また仕事に誘ったりと、彼は彼で何か裏に色々あるんでしょうか?
監督:ユノはそれほどお金が潤沢にあるとか、経済的に潤っているということではありません。自分自身が身に着けているものや着ているものに対しては、かなり気を遣うキャラクターだったと思います。経済的に豊かでないからと言って着ているものを全く気にしないということではないというキャラクターにしたいと思いました。後半では銀行から融資を受けてスクールを作って、表向きはCEOではあるのですが、銀行からお金を借りているので借金は多く抱えていましたが、スクールの委員長という立場なので、現金は少し回るようになっていました。ミンジェは、プライドもあって自己肯定感の高い人物ですので、自分が少し境遇が良くなったからと言って、資金提供することよりは、そんなことを受け取らない子だと分かっているので、違法ではあるのだけれどあのような提案をすることで、ミンジェを少しサポートしようとしたのではないかなと、私は想像しながら書いていました。
Q.監督にお伺いしたいのですが、ミンジェとジスのキャスティングについて裏話などがあればお願いします。
監督:ミンジェ役のイ・レさんは、本当に出演作がこれまでたくさんあります。そして韓国では演技力で定評のある俳優さんということで、子役時代からずっと活躍をしていらっしゃるので、私はイ・レさんの出演作をたくさん見てきていました。そして今回、ミンジェにとてもよく似合うと思って、非常に困難な道のりではありましたが、彼女にたどり着いて、シナリオを渡してキャスティングをしました。
クム・ヘナさんは、私と同じ映画学校出身で、一緒に勉強していた同期たちがクム・ヘナさんで作品を撮ったりもしていたので、ヘナさんの演技をこれまで見てきていたんです。そして、そのクム・ヘナの演技のスタイルやイメージが、本当に素晴らしいなという印象を持っていたので、今回ジスコーチによく似合うだろう、本当にぴったりだなと思って、お電話をして、シナリオをお渡ししてキャスティングしました。
Q.最初にこの作品の脚本を読まれた時、監督と話された時の印象などを お2人にお伺いします。
クム・ヘナ:私は今日改めて映画を観て、いや、これは本当に悪いなというふうに思ったんですけれども、シナリオを受け取って、シナリオを読んだ時には、ジスが演技をする上では、この登場人物の中で最も魅力的だというふうに私には思いました。そして、これまで私はインディペンデント映画に多く出演をしてきているんですけれども、そのジャンル的な映画やセリフの長い映画には、まだこれまであまり出演したことがなかったんですね。初めてこのシナリオを読んだ時は、“わ~セリフが多いな”と思いました。でも、セリフが多かったりするのは、私自身がその役として映画の中でリードしていく役柄をやるタイミングに来ているんじゃないかなと思ったので、役と、このシナリオがとても魅力的に思えました。私自身もその個人の良心を守ろうとして、脅迫観念のように、それを守るべきと努めているんだけれども、それがなかなかできなかった時には自分を攻めてしまうような面もあるので、私自身もこのジスという役をうまく表現できるんではないかと思ったんです。
イ・レ:私も台本を初めて読んだ時には、そのミンジェの内面的な強さというのをすごく感じました。まるで女戦士のようだなとも思えたんです、彼女は不遇な状況の環境に置かれていて、助けてくれる人は周りにほとんどいなくて、1人で本当に頑張っているんですけれども、1日1日を孤軍奮闘しながら頑張っている姿を見ながら、私も学ぶところが沢山あるなと思いました。そんなミンジェの姿から私自身もエールを送られているような感じがして、とても面白いなと思ったんです。そんな中でもミンジェはまだ若いので、弱さや拙さもあると思うんですが、それがまさに人間の中にある弱さや脆弱さや拙さというものと繋がって、その人間の弱さ、もろさというのが映画が全般にしっかりと描かれているなと思えたので、このシナリオがとても魅力的に感じられました。

孤児院育ちで陸上部のスター、17歳のミンジェは、その出自と優秀さゆえに絶え間ないいじめを受けている。裕福なヘリムの両親が娘の将来のために成績を操作したことで、ミンジェの成功への道はさらに閉ざされてしまう。焦るミンジェはヘリムを妨害するために策を講じ、それを知ったコーチに利用され、事態は大きな波紋を広げていく。ミンジェ役のイ・レ、ジス役のクム・ヘナらの俳優陣が清濁併せ呑む役柄を好演。韓国芸術総合学校(K-Arts)映像院出身の新鋭パク・ヨンジェの監督デビュー作。
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