【独占インタビュー】映画『タイヨウのウタ』チョ・ヨンジュン監督インタビュー「人として成長していく過程を見せたい」チョン・ジソとチャ・ハギョン(VIXX エン)二人の魅力について語る!

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2006年に日本で大ヒットした映画『タイヨウのうた』。その後ドラマ化され、アメリカや世界各国でリメイクや舞台化されてきた感動のストーリーが韓国映画『タイヨウのウタ』(配給:ライツキューブ)として、5月16日(金)より日本にて世界最速公開中です。

太陽の光に当たると、高確率で死に至らしめる難病“XP(色素性乾皮症)”を抱えた主人公・ミソルを演じるのは、2019年に公開された映画『パラサイト 半地下の家族』でダヘ役を演じて大ブレイクしたチョン・ジソ。そして彼女を支える少年・ミンジュンを演じるのは、ドラマや舞台などの話題作に多く出演し、男性アイドルグループVIXXのメンバー・リーダーであるチャ・ハギョン(エン)。その他にもチョン・ウンイン、チン・ギョンといった実力派の俳優陣らが出演。さらに本作で重要な要素である劇中の曲には、AKMUのイ・チャンヒョクが音楽監督として参加し楽曲制作を担当している。

今回、この映画を手掛けたチョ・ヨンジュン監督にインタビューさせていただき、撮影エピソードや出演者についてなど、たっぷり語ってくれました。

チョ・ヨンジュン監督インタビュー

チョ・ヨンジュン監督/©️ 2025 K-MOVIE STUDIO ALL RIGHTS RESERVED.

Q.まずは作品を完成されての率直な感想をお聞かせください。

実は、本作はコロナがまさに全盛期の頃に撮影を行っていたので、撮影途中にも俳優さんやスタッフさんがコロナに感染したりで、かなり苦労しました。無事に完成して観客の皆さんに観ていただける、それも日本で先に公開されることになって感無量です。

Q.日本をはじめ、世界各国で愛されている作品ですが、なぜこの作品をリメイクしようと思ったのでしょうか?

日本の原作も観ましたし、アメリカでリメイクされた作品も観ました。その結果、同じ状況で同じ主題のテーマで作品を作っても、文化的背景や感受性が違うことによって、全く違うストーリーになっていくんだなと感じましたので、約20年経った今、この作品を韓国で作ったら、また全く違う感受性を持って、全く違う音楽で表現出来るのではないかなと思ったので演出をすることにしました。

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Q.主演のチョン・ジソさん、チャ・ハギョンさんのキャスティングについて、お二人のどんな魅力に惹かれて選ばれたのでしょうか?また、ベテラン俳優のチョン・ウンインさん、チン・ギョンさんについてもキャスティングの理由をお聞かせください。

まず女性の主人公のミソルという女の子は、とにかく歌が上手く歌えるということがこの役を演じてもらうための必須条件でした。誰がいいかと探していた時に私の知人の監督が「チョン・ジソさんを探して見てみたらいいよ」と言ってくれたのでInstagramを見てみたら、ちょうど彼女が歌の練習をしている様子をアップしていたんです。本当に真剣に歌に向き合っている姿が分かったので、この人だったらこの役を任せられるなと思ってキャスティングすることになりました。

ミンジュンという青年役のチャ・ハギョンさんですが、ミンジュンというキャラクターは、出来るだけ勤勉で誠実な青年という設定をしていましたので、それをちゃんと表現できる人に演じてもらいたいと思っていました。チャ・ハギョンさんに実際に会ってみたら、まさに僕の描いたミンジュンそのままで、礼儀も正しいし、いろんなことに最善を尽くす、とても誠実な青年でした。そしてミンジュンはいつも外で果物を売って歩いてる青年なので、出来るだけ色黒の人がいいなと思ったんですが、チャ・ハギョンさんは、もともと地黒だったので、その面の条件も合っていました。

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ミソルの両親役を演じてくれたチョン・ウンインさんとチン・ギョンさんは、どちらも私が普段から本当に大好きな俳優さんです。ミソルの両親は、病を持っている娘と感情を交わすシーンが沢山出てきますので、その感情のやりとりをリアルに表現できる人であってほしいと思いました。決して大きな役ではないんですけども、お二人にお願いをしましたら快く引き受けてくださったので、私としては本当に光栄だなと思いました。

Q. 今回、果物屋、そしてSNSを使ったりとアレンジされていますが、他のリメイク作品との違いや苦労した点は?

まず、青年が果物をトラックで売り歩いてる設定をしましたが、原作やアメリカでのリメイク作はサーフィンをしている設定で、サーフィンがとても重要な役割を果たしていました。でも韓国では日本や他の国と比べてサーフィンという文化がそれほど盛んではなく、僕の中ではミンジュンという青年は、“自分の生きていく道を自ら開拓していこうと一生懸命取り組んでいる青年”という設定にしたかったので、彼に果物売りという役割を与えました。
そしてSNSを利用して、YouTubeやInstagramを活用するシーンが出てきます。もともと日本の原作やアメリカの作品が作られた2000年代序盤の頃は、音楽をやっている人が自分の音楽を広めたい時には、デモテープやデモCDというのを作って音楽会社に持ち込むという形が多かったと思うのですが、今の時代は自分の特技をPRする場合、SNSを実際に活用されていますので、劇中のミソルが自分の歌を広めるためにSNSを利用して、彼女が実際にシンガーとして成長をしていく姿をリアルに見せていきたいと思い、SNSを活用することにしました。

それから果物屋のトラックの利用で、ちょっと苦労した点があったのですが、私たちが撮影していたのが8月の本当に暑い時期で、撮影のためにトラックに果物を積んで一日使うのですが、翌日は果物が傷んでしまうのでそのまま使うことが到底出来なかったんです。そのため一日撮影に使った果物はスタッフの中で食べたい人や欲しい人で分け合ったり、デザートやおつまみにしたりしていました。

Q.チョン・ジソさんの歌声が本当に素敵でした。AKMUのイ・チャンヒョクさんが音楽監督として参加されたそうですが、どのような感じで進められたのでしょうか?

音楽作業は、シナリオが完成したあと6か月位かけて作っていきました。どういう曲をどういう風に作ってほしいと具体的なオーダーをしたというよりも、音楽監督のイ・チャンヒョクさんに“このシーンでこんな感情のこもった曲が欲しい”というオーダーをして、イ・チャンヒョクさんが歌詞とメロディを考えながら作って、何曲か僕に提案をしてくれました。その中から僕が、この曲がこのシーンにピッタリじゃないかなとチョイスする形で進めていきました。それとは違って、唯一僕が音楽作りに参加した曲は、一番最後に出てくる「Sculpture Stars (조각별)」(星のかけら)という曲です。この曲は、この映画の中で繰り広げられるドラマにダイレクトに繋がってくる曲になるので、実際に僕もイ・チャンヒョクさんと一緒に考えながら曲をデザインしていった感じです。

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Q.ミソルの病気のこともあって夜のシーンが多かったと思いますが、逆に光を使ったシーンも際立っていたような気がします。そのあたりの映像へのこだわりはあったのでしょうか?

主人公のミソルが病を抱えていることで、ミソルにとっては光というのは、時には恐怖の対象でもあり、また憧れの対象でもある、また時には自分を寂しくさせる対象でもありました。ですからシーンごとに同じ光であっても光の質感や色合いだとかを、はっきりとした目的をもってこの明かりにしたいと考え、それぞれシーンごとに違う意味合いも持たせて撮影していきました。

Q.初々しいラブストーリーや家族愛、心に染みるセリフや場面など繊細に描かれていると思います。どんなことに気を付けて撮影されたのでしょうか?

感情が伝わったようでありがとうございます。もちろん主人公が不治の病を抱えている少女のストーリーではあるのですが、ひとつの家庭の一員として、ミュージシャンとして、そしてある青年の恋人としてのミソルという少女の存在を描きたい、彼女がどうやって成長していくのかという成長ストーリーとして描いていきたいと思っていました。これは一人の女の子の闘病記では決してなくて、一人の人間がいろんな試練にぶち当たる、でもそれを克服していって、音楽においても家庭においても愛情においても、人として成長していく過程を見せようと思いました。

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Q.撮影での面白かったエピソードなどがあれば教えてください。

面白かったエピソードよりも大変なエピソードが記憶に残っています。実際にこの本編の中では編集でカットされていますが、ミソルとミンジュンが二人で夜のあぜ道を歩いているシーンがあったんですが、もしかして韓国にいる虫がここに全部集結してるんじゃないかと思えるほどに本当にいろんな虫が集まってきて大変なことになってしまったんです。カメラのところにも虫が集まってしまって、二人の俳優がちゃんと映ってないんじゃないか?と思えるくらいの沢山の虫が集まったことを覚えています。実際には他の理由もあってそのシーンは使われなかったのですが、その撮影を終えたあとは、二人の俳優さんも腕や足を蚊に沢山刺されてしまって大変なことになっていたので、お二人が今後こんなことがないといいなと思いました。

Q.作品を撮り終えて、主人公のお二人にはどんな言葉を伝えたいでしょうか?

撮影の一番最後のカットは、チョン・ジソさんとチャ・ハギョンさんさん演じる主人公ミソルとミンジュンのキスシーンでした。それでこの映画を撮り終えたのですが、このシーンを撮り終えたあと、お二人に対しては、「これで全て撮り終わって、この作品からは離れていくけど、ミソルとミンジュンは、これからもずっとお互いに好きでいるというのを残していってほしいなと思う」ということを伝えました。それほどに二人はミソルとミンジュンの感情をこの作品の中で繊細に表現してくれたと思います。二人はこれからもいろんな作品に参加すると思いますが、この作品で演じたそれぞれのキャラクターが、ずっとお二人の中に長く残るといいなと思います。

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Q.監督にとって、この映画『タイヨウのウタ』は、どんな作品になりましたか?

私自身は結婚してしばらく経ってますし、大きく成長した子供もいますので、自分にとって恋愛というものは何だったかな?とか初恋のことをあまり思い出せなかったりするんですが、この映画は僕をしばし二十歳くらいの初恋をした頃の自分に旅させてくれた、そんな作品になったかなと思います。

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Q.最後に、この映画で皆さんに伝えたいこと、メッセージをお願いいたします。

メッセージはとてもシンプルです。本当に「愛情」というものがあれば克服出来ないものはないと思いますので、皆さんもっと熱く一生懸命に恋してください!

韓国映画「タイヨウのウタ」あらすじ

紫外線にあたると高確率で皮膚がんになる難病“XP(色素性乾皮症)”という遺伝子疾患を抱え、太陽の光を浴びることの出来ないミソルは、昼間は外に出ることができない。その中で出会った音楽がミソルの琴線に触れ、曲を作って奏でる日々。そんな彼女は部屋の中から見えるキッチンカーでフルーツ売りをしている青年に恋心を抱いていた。
ある日、キッチンカーが夜間販売に来ているのを見つけ、思わず駆け出してしまうミソル。その日から、ミソルは常連となり彼に大接近。彼の名はキム・ミンジュン。俳優になる夢を追いかけている青年だった。ミソルはミンジュンに歌を披露すると、ミンジュンから絶賛されて弾き語りの映像をSNSで配信するよう進められるが、歌ではなく病気にばかり注目が集まることを懸念し勇気が出ない…。そこで顔出しはせず、歌だけをアップすると見事に大バズリ!大好きな歌を多くの人に届けられる幸せを感じていたミソルだったが、SNS上で身元がバレてしまい、歌よりも病気への注目ばかりが増えてしまいSNSが怖くなる。自信を失ったミソルに、ミンジュンはもう一度歌を歌えるように影ながら応援する。だがそんな二人の前に、ミソルの病は立ちはだかるのだった。
人生をあきらめていたミソルは、ミンジュンに出会い、短くも、輝く日々を謳歌する純度100%のラブストーリーが現代に蘇ります。

「タイヨウのウタ」映画情報

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監督・脚本:チョ・ヨンジュン
音楽:イ・チャンヒョク
出演:チョン・ジソ(「パラサイト 半地下の家族」「ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜」)、チャ・ハギョン(「無人島のディーバ」)、チョン・ウンイン 、 チン・ギョン
製作:BY4M STUDIO 制作:K-MOVIE STUDIO 配給:ライツキューブ
(2025/韓国/109 分/カラー/シネスコ/5.1ch)
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Based upon the original Japanese language motion picture entitled “TAIYO NO UTA” (“MIDNIGHT SUN”), based upon an original story by Kenji Bando and Yoshiro Hosono.
5月16日(金)より世界最速公開
新宿ピカデリーほか全国絶賛公開中!




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