「82年生まれ、キム・ジヨン」の著者チョ・ナムジュ作家の表題作収録「ヒョンナムオッパへ:韓国フェミニズム小説集」日本で出版される
- 2019/2/25
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- チョ・ナムジュ
昨年12月に筑摩書房より出版されたチョ・ナムジュ作家の「82年生まれ、キム・ジヨン」。
完売店が続き、重版が伝えられるなど話題になったが、チョ・ナムジュ作家の表題作が収録された「ヒョンナムオッパへ:韓国フェミニズム小説集」が今月、白水社より出版され関心を集めている。
今月21日に出版された「ヒョンナムオッパへ:韓国フェミニズム小説集」は、「82年生まれ、キム・ジヨン」の韓国での一大人気を受けて刊行された若手実力派女性作家による、初の書き下ろしフェミニズム小説集。韓国では2017年11月15日に発売されている。
この邦訳本は、白水社より2019年2月21日に発売となった。
チョ・ナムジュによる表題作「ヒョンナムオッパへ」の主人公は、地方出身の女子。ソウルの大学に進学して、先輩のヒョンナムに恋をし、彼に守られて10年以上青春期を過ごすが、実際には何もかも彼に操作されていたと気づき……。
『82年生まれ、キム・ジヨン』では、女性として生きる上で直面する様々な困難や疑問が提示されたが、本作では実際に行動を起こすところまで踏み込んでいる。
ほかに、母親との葛藤を抱えた女性の主人公が、弟の結婚を契機に母との関係、女性としての生き方に思いを巡らす「あなたの平和」、受験を控えた中学生の息子と小学生の娘の問題に悩む専業主婦の複雑な感情に光を当てた「更年」など、各篇に描かれている事例は、日本の各世代の女性たちの共感を呼ぶ。
また、韓国の男性社会の暴力性への違和感を、都市空間への違和感として象徴的に描いた「すべてを元の位置へ」や、ハードボイルドの男女の役割を入れ替えたサスペンス仕立ての「異邦人」、宇宙空間での出産をテーマに、女性のクローン人間と雌犬とロボットの心温まる交流を描いた「火星の子」など、フェミニズムへの多彩なアプローチを楽しめる。