【独占インタビュー】映画『PROJECT Y』イ・ファン監督「二人(ハン・ソヒ&チョン・ジョンソ)は、観客との垣根も越えられると思いました」ついに1月23日(金)全国公開へ!

韓国を代表する俳優ハン・ソヒ&チョン・ジョンソがW主演を務めるクライムサスペンス『PROJECT Y』(プロジェクト ワイ)が、2026年1月23日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開となる。

その監督を務めるのは俳優出身で『パク・ファヨン(原題)』(2018)、『大人たちには分からない』(2020)を通し、韓国の若者が抱える問題を描いてきたイ・ファン監督。その社会意識の高さが評価され、長編3作目となる映画『PROJECT Y』を製作。本作は第50回トロント国際映画祭、第30回釜山国際映画祭でのプレミア上映で話題を呼び、2026年1月、ついに日本と韓国でほぼ同時期に公開となる。そのイ・ファン監督に、この度インタビューさせていただきました。

―日韓で公開されるお気持ちをお聞かせください。

韓国と日本、2日違いで、ほぼ同時公開となるのですが、こういうケースは韓国でも珍しい事だと聞いていますので、とても光栄ですし嬉しく思います。韓国と日本の観客の皆さんに、同時にこうして作品でお会いできるということで、ときめきも2倍ですし喜びも2倍となっていて、本当に期待しています。皆さんにはぜひこの作品を楽しんで観ていただきたいです。

―もともとラブストーリーだったとのことですが、なぜクライムサスペンス、ノワールが題材になったのでしょうか?

はい、最初はラブストーリーでシナリオを書いていましたが裏社会が背景の作品となりました。もともと私の中にあった疑問は、ただ一つだったんです。人間は果たしてどこまで行けるのか?どこまで出来るのか?というのが私の中にある問いでした。当初は、人間はどこまで考えることが出来るのか?というのが男女だった時に、女性が大きな欲望を持っていて、それを受け止めることが出来る男性は、どこまで自分を犠牲にすることが出来るんだろうか?ということを描いた内容で、欲望と利己心、自分勝手なところが大まぜになる凄絶なラブストーリーを構想していたんですが、制作条件が整わなかったので、最初に『パク・ファヨン』(2018)、その後『大人たちには分からない』(2020)という作品を撮る流れになりました。そして、もう一度このシナリオを取り出して、ジャンル的なものとして撮ってみたらどうだろうか?と考え、男女から女性二人のバディの形に方向性を変えて、犯罪、ノワールというジャンルの形になったんです。

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―主役のミソン役のハン・ソヒさん、ドギョン役のチョン・ジョンソさんのWキャスティングの経緯と、お二人の魅力について教えてください。

この二人の俳優は、まさにアイコニックな存在だと思います。今や韓国だけでなく国の垣根を超えたアイコニックな存在だと思うのですが、今回は夜の街、裏社会を描いているということで、二人が演じる役には暗い側面もあり、欠けたところを抱えている人物でもあります。そんな人物を観客の皆さんの目を惹き付ける、より魅力的に見てもらえる、そしてその人物たちが抱えている感情をより説得力を持って観客の皆さんに訴えることが出来る俳優を考えた時に、この二人に演じていただくことによって、観客との垣根も超えられるのではないか?と思いました。実際にお二人にお会いしたところ、シナリオに同意をしてくださったので、キャスティングに至りました。

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―劇中では主役のほかに個性的なキャラクターが沢山登場しますが、それぞれ教えてください。

全てのキャラクターが各々の欲望に忠実で、欲望をむき出しにしているという特徴があると思います。ミソンもドギョンもそれと同じことが言えるんですが、中でもキム・シンロクさんが演じるガヨン(ドギョンの母親)は、映画の中では描かれていないですが、背景となるストーリーがあるんです。彼女にとってミソンとドギョンは飼い犬であり、自分のペットのように考えていたんですが、ガヨンは15歳でドギョンを生んで、自分が必要な時には育てて、自分が世話できなくなるとシェルターに捨てるということを繰り返していました。シェルターも政府からの支援金を受けるための必要条件というのがあるので、それを餌にしてドギョンをシェルターに200万ウォン近くで売ったりしていました。、そのように育てたり引き取ったりを繰り返している中で、ミソンという少女に出会って、擬似家族のような関係を築いて暮らしていたんです。ガヨンはミソンとドギョンという二人の美しいペットを育てているという感覚だったと思うんですが、二人は捨てられたり、引き取られたりしている中で大人になって、この二人が家族となって生きている状況になっていきます。映画ではある事件が起きた時に二人はガヨンのもとを訪ねていきますが、その時にガヨンは二人に何が出来るのかということを考えたと思うんです。ガヨンが最後にしたことは、いわゆる“母性愛”ではなく、“私はかっこいい女だ”“かっこいい生き様”というのを見せたかったのではないかと。二人に対して“私は決していい母親ではなかったかもしれないが、だからと言ってあなた達に申し訳ないとも思っていない、だからここで今までの借りは全て清算させる”という、そんなキャラクターだったと思います。

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―ガヨンが主人公ではないかというくらいストーリーや思い入れがあるんですね。
このキャスト6人全員にもすごく思い入れがあるんです。

―ト社長の手下、ブル役のチョン・ヨンジュさんの丸刈り姿も印象的でした。

実はチョン・ヨンジュさんですが、ある写真が韓国ではネット上で出回っていたんです。何かの授賞式で彼女がドレスを着て、あの髪型(丸刈り)で登場したシーンがあったんです。でも多くの人が否定的な書き込みをしているのが沢山見られたんですが、僕は、これはチャンスだと思いました。むしろこのカッコ良さを何とかして生かしたい、自分がその写真を見た時に、ドレスを着て丸刈りにしたチョン・ヨンジュさんが本当に完璧なキャラクターのように思えて、すごくカッコいいと思ったんです。でも見ている人たちにとってはそういう風には届かないのかなと思って、他の人に気づかれて使われる前に僕が早くキャスティングしたいと思いました。チョン・ヨンジュ先輩にお会いして、僕が見たモニターの写真をお見せしながら、これと同じように切ってくださいとお願いしました。

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―その時、丸刈りはすぐOKされたのですか?
はい、髪を切る時は僕がすぐ隣にいました。「(ここに)来て見てなさい」と言われたので、見ていたんです。(笑)

―キム・ソンチョルさん演じるト社長は、とても冷酷な感じでしたね。

リサーチの過程で知ったのですが、こういう違法の賭博を仕掛ける仕掛け人、詐欺を働いて生きている若者が、いま韓国社会にかなりいるそうなんですね。彼らはとても多くの現金を持っているというふうに聞きました。例えばスーパーカーに乗った若者が飲酒運転で何か器物破損をしたという事件があったとします。実際にはそういう人たちがト社長である可能性があるけど、ニュースで取り上げられるのは、飲酒だったり事故の側面で、実際にはもっと悪いことがその裏には隠れている。そういうことがリサーチの過程やいろいろな人々にインタビューで聞いている中で、私も知ったことでした。そういった中で、“このような人物をヴィラン(悪人)として描いてみたい”と思ったんです。そのヴィランとして描く際に本当に大きな欲望を持ち、お金のためなら手段と方法を選ばない、さらに潔癖症を持ち、ものすごく神経質で敏感な面を持っている人物像を作っていったんです。

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―イ・ギェジュンさん演じるソックについてはいかがですか?

彼は本当に金になるなら何でもするという人物ですね。良心そのものがない。韓国にはこういうチンピラのような若い人達が繁華街エリアにいたりします。(笑)そこで「オレ、ビジネスやるから~」と事業みたいなことを語る、そういう輩(やから)の1人だと思います。でも「ビジネス」「事業」とか、何かあるごとに言うんですけど、結局はただ裏で薬を売っているような人物もいます。この映画の中でのソックの仕事としては、一応タトゥーイストなんですが、同時に薬も売っている。つまりお金になるなら何でもするという人物なんです。

実は、彼のセリフでこんなセリフがあったんですが、タトゥーをしようとするある女の子が「お兄さん、タトゥーって痛いの?」と聞くとソックは「こんなもの痛いうちに入らない、本当の痛みはお金がないことだ」というセリフがあったのですが、今回使われてはいないんです。その“お金がないのが本当の痛みだ”というセリフが、彼を最も一番表している言葉だと思ったんです。そして、彼らは韓国語で言う「事業」「ビジネス」とすぐに口にするのですが、オープニングで出勤をするときにドギョンとミソンのやり取りの中で、ドギョンが「これも事業だから」とボイスオーバー(音声)で聞こえてくるシーンがあります。ドギョンも同じことを言っていて、そういうタイプの人間であるということがそこでも少し伝わるんじゃないかと思うんですけども、ドギョンとミソンの違いがまさにここにあったと思うんです。ドギョンはあっち側の人間になりかけてもいるんだけど、完全にそこに染まるわけでもなく、だからと言ってこちら側に来ることが出来ない。そんなドギョンをよく表していたと思います。この「ビジネス(事業)だから」というセリフは現場で直にチョン・ジョンソ(ドギョン役)さんに、このセリフを言ってくださいとお願いして撮影したんです。

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―OH MY GIRLのユアさん演じるハギョンはどんな人物ですか?

ハギョンは、この事件のカギを握る人物ですよね。ト社長の妻で、愛して結婚をして、旦那は金持ちで、彼女自身がすごく貧しかったというわけではないが、幸せを夢見て結婚したものの、彼が無関心となり彼女は彷徨い、口が災いのもととなり、事件の引き金になってしまったんです。

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―ユアさんは本作が俳優デビューとのことですが、堂々とした演技でしたね。
ユアさんは本当にこれからが楽しみな俳優さんです。本人にとってすごく難しい決定だったと思うんです。韓国ではとても有名なアイドルなので、今まで皆さんと触れ合ってきた姿というのは本来の姿だと思うんですけども、今回のこのキャラクターには本人の姿とは全く異なるキャラクターだったので難しかったと思います。でも、一緒に演じたキャストの方と沢山話をしながらシーンの練習も一緒に重ねていく途中で、いろいろなシーンを新たに書き換えながら一緒に作っていきました。本来のシナリオには、かなりショッキングな罵声が多かったんですが、それを最小化して一回だけはそのような言葉を使うようにしました。ユアさんには私からこう伝えたんです。「これまでのユアさんを知っている人たちにとって、いい意味でお客さんの期待を裏切るものになるんじゃないかと思う」と。彼女も悩んだ後、「私もそういうことであればチャレンジしてみたい」と、この作品に合流を決めてくれたんです。そして主演お二人とユアさんもすごく親しいんです。お姉さんたち(ハン・ソヒ、チョン・ジョンソ)が本当に面倒見が良くて、いつも彼女のことをよくケアしてくれている間柄なんです。実はこの作品を決めた時に、ハン・ソヒさんに言われた言葉がとても印象的だったんです。ユアさんが出演を決めたと言ったら、ため息をつきながらひとこと。「この役柄をあなたが演じると決めたということは、あなたも正常ではないね」と冗談めかして言ったそうです。(笑)
―確かにみんなぶっ飛んでる感じのキャラクターばかりですね。
そうなんです。みんな普通よりかなりハイテンションなキャラクターですよね。(笑)

―終始、緊張感のあるスリリングな展開ですが、撮影で特にこだわったこと、苦労したところは?

全般を通してまずひとつ大前提となるのが、一昨年の冬に撮影したんですが、本当に真冬の一番寒い時に撮ってるんです。真冬に撮影して真冬に終わるというスケジュールでした。もうひとつ大変だったのが、昼と夜が完全に逆転して、ほとんど夜のシーンが撮られています。撮影スケジュールが毎回、夜撮って昼に寝る。昼夜が逆転した状態で撮っていました。だから極寒の寒さと昼夜逆転した生活を送らなきゃならないということがとても大変だったんです。

もうひとつ、黒い液体が登場するのですが、あの液体の中に俳優が入らなければいけないという状況で、極寒の寒さの中、いくらあの液体を温めたとしても、身体にまとわりつくような液体だったので、あれはすごく辛い思いをしたと思います。あの液体の正体は詳しく言うと水あめや食用の色素などで出来てるんです。人体には無害なものですが、すごくベトベトしているので、やっぱりあの中に入って撮影をするというのはとても大変なことだったと思います。そして、さらに大変だったのは、あの液体が漏れて全部抜け出してしまって、結局もう一度最初から仕込まなくてはならなくなったんです。また新たに水あめを買って、穴の中に入れるんですが、あの分量を仕込むとなると、水あめ80トンが必要だったんです。その80トンの水あめは2500万ウォン、日本円で約250万円です。抜けて全部外に出てしまったので、同じ量をもう一回買ってるんです。だから合計160トンの水あめを使うことになりました。それは本当に苦労しました。

―最後に映画の見どころと、観客へのメッセージをお願いします。

まずは、この作品は私が面白いジャンル映画を撮りたいという意欲を持ってスタートした作品なんです。映画をご覧いただくとお分かりのとおり、ものすごく早いスピーディーな展開となっています。とにかくすごくスピーディーでリズム感のある編集で撮っていますので、、この映画で語られる感情と事件を追っているうちに、瞬く間にもうエンディングのクレジットだったという体験をされることになると思います。私たちはベストを尽くして撮ったので、観客の皆さんにはぜひ楽しんで観ていただいて、それぞれのプロジェクトYを完成させていただけたら嬉しいです。

映画『PROJECT Y』

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【STORY】
欲望渦巻く眠らない街・ソウルの繁華街で、ミソンとドギョンは日々生き延びるために必死に金を工面していた。「昼は働き夜は眠る」── そんな普通の生活を夢見る二人は、その第一歩として、勤め先のフラワーショップの事業を継ぐという目標を達成する日も目前に迫っていた。しかし、夢が叶おうとしたまさにその時、ある人物から騙されていたことがわかり、すべてが粉々に砕け散る。追い詰められていく二人は、クラブを経営するト社長がソウル近郊のどこかに大金を隠しているという情報をつかむ。一攫千金の大チャンスを目の前にした二人は、人生を懸けた危険極まりない大勝負に乗り出した──!

■出演:ハン・ソヒ、チョン・ジョンソ、キム・ソンチョル、キム・シンロク、チョン・ヨンジュ、イ・ギェジュン、ユア(OH MY GIRL)ほか
■監督:イ・ファン『大人たちには分からない』
■音楽:GRAY『バレリーナ』
■提供:KDDI
■配給:日活/KDDI
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2026年1月23日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開

映画『PROJECT Y』日本版本予告




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