韓国映画「あなた、その川を渡らないで」チン監督来日トークイベント

  • 2016/6/3
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チン・モヨン監督、砂田麻美監督トークイベント
ドキュメンタリー映画『あなた、その川を渡らないで』(配給:アンプラグド)が7月30日(土)より、シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開となる。

2014年11月、小さな規模で公開をスタートすると、たちまち感動が口コミで広がり、公開館数は800スクリーンまで増え、『インターステラー』などのハリウッド大作を押さえて大ヒットとなった。映画に登場する妻に取材が殺到する事態がおこり、監督から自粛を求めるメッセージが発表されるなど異例づくしの中、ついに観客動員数1位を記録。韓国国内では10人に1人が観たこととなる480万人を動員し、韓国ドキュメンタリー映画史上「NO1」の観客動員数を達成して、若者からお年寄りまで巻き込んだ社会現象となった。その勢いは国内に留まらず、世界中の映画祭で上映され、多くの観客賞を受賞。世界中が涙した話題作が、ついに日本公開となる。

そしてこの度、本作を手掛けたチン・モヨン監督の来日を記念し、チン監督と『エンディングノート』(2011)の砂田麻美監督のトークイベント付き特別試写会が行われた。
試写直後の感動さめやらぬ観客を前に、お互いに“映画初監督”にして“ドキュメンタリー”、そして、“大切な人との愛と別れ”というテーマを選んだ者同士、じっくりと本作の魅力について語った。

砂田監督は「日常に埋もれてしまうようなささやかな話を映画にするのは、すごく難しい。このご夫婦の物語を映画にされた監督には尊敬の念を抱きました」とコメント。

チン監督は本作の企画段階で、「このふたりのストーリーは、幸せなお姫様と王子様の童話です。でもこの映画はお姫様と王子様が、その後にどうなったかを描いています」と制作にこぎつけるためにプレゼンをしたと語った。「若いころに愛し合うことは簡単だけれど、老いてからや、病にかかったとき夫婦はどうなるのか、それを描きたかった」。

砂田監督は『エンディングノート』でご自身の父親を、『夢と狂気の王国』(2013)でスタジオジブリの宮崎駿監督を撮影した経験を踏まえ、撮影する際は「いかに自分の気配を消すか」ということに集中し、「いるんだけどいないような」まるで忍者のように振る舞っていたというエピソードを話した。

チン監督は「夫婦にはいつも通りの生活をしてほしいと頼んだ。長い時間を一緒に過ごすことによって、ご夫婦と濃密な関係を築くことができました。結果、今まで誰にも話さなかったふたりの心の中に秘められていたような話をしてくれました。おばあさんは、歳をとっても若くても心は同じなのよ。どんなに歳をとっても愛する人とずっと長くいたいし死ぬのは怖いわ。と打ち明けてくれた」と撮影期間中の秘話を語った。
そして、「この映画には、大切な人を愛する鍵がたくさん散りばめられている。劇場にカップルで見に来た人は帰りに手をつないで、1人で見に来た人は帰ってから愛する人に優しくしてほしい」と観客に向けてメッセージを贈った。

あなた、その川を渡らないで

愛情あふれる丁寧な毎日の記録

美しい小さな村。川のほとりで、仲睦まじく暮らす結婚76年目の98歳のおじいさんと89歳のおばあさん。
毎日、ふたりはおそろいの洋服を着て、手をつないで歩いてゆく。

山菜を採りに山へ、老人会の遠足へ、街の病院へ、市場に買い物へ出かけてゆく。春は花を折って互いに飾り、秋は落葉を投げ合って微笑み、冬ははしゃいで雪合戦をする。

慎ましくも愛に溢れた日々を送る白髪の恋人たち。いまの生活に満足しながらも、日々の気苦労は絶えず、ふたりは小さな心を痛めている。
妊娠してしまった飼い犬。ふたりを心配し喧嘩をする子供たち。痛みが治まらないおばあさんのひざ。そして、おじいさんの身体。

雨がしとしとと降るある日、おばあさんは、ひどくなってゆくおじいさんの咳を聞きながら、「天国でも着れるように」とたき火におじいさんの洋服を静かにくべるのだった・・・。

『あなた、その川を渡らないで』

監督:チン・モヨン
出演:チョ・ビョンマン カン・ゲヨル
2014年/韓国/ 86分/ビスタ/5.1ch
日本語字幕:伊勢田京子 配給:アンプラグド 
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7月30日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー




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